発症して3ヶ月以内ならあきらめないでください。
突発性難聴(突然の聴力低下)と共に現れた耳鳴りは、聴力の回復と同時に改善します。理由は内耳と脳の関係で説明できます。
空気の振動は、最終的に脳によって認識され“音”となります。しかし、鼓膜が震えて生じる信号が内耳で遮断されると、脳に届かなくなります。
しかし、前までは入力されていた信号が突然なくなるので、脳は内耳のトラブルを正確に認識できず、信号が“あるはず”だと認識してしまいます。その”あるはず”の音を、脳自身が作り出してしまったものが耳鳴りです。そのため、低下した聴力と同じ音域の耳鳴りが生じることが多いのです。
一般的な耳鳴りの治療
まず、原因がはっきりしている場合は、原因を取り除くことが原則です。聴神経腫瘍、中耳炎などによる耳鳴に対しては、手術が必要です。
しかし、原因が不明な耳鳴に対しては決定的な治療法や特効薬がないため、「治す」よりも「馴れる(馴らす)」方向で様々な試み・研究がなされています。
そのような場合は対症療法が主体となります。一般に行われているのは薬物療法で、精神安定剤、ビタミン剤、血管拡張剤、代謝改善剤などが用いられます。内耳の神経細胞の異常興奮を静める目的で局所麻酔剤を静脈注射したりすることもあります。
仙灸堂では耳鳴りや難聴をどう考えるか
突発性難聴は原因不明と言われていますが、発症前から耳周辺の血流が極端に悪化していたと考えられます。
耳周辺の組織や細胞に必要な酸素と栄養素が十分に届かないと、全体もしくは一部がうまく機能しなくなってしまいます。
一時的な血行不良であれば、血行が回復すれば聴力は元通りになります。しかし、血行不良が何日も続いてしまった場合は簡単に戻りません。血行を改善させ、その良い状態を保ちつつ聴力の回復を待つしかありません。
聴力は落ちる時は一瞬ですが、回復には時間がかかります。適切な治療を行ったとしても、聴力の戻り方はゆっくりですから、中長期的な治療計画が必要です。
お灸治療における治療期間の目安は1~3ヶ月です。発症から1ヶ月以内であれば完治する例も少なくありません。1ヶ月を過ぎても3ヶ月以内であれば回復の可能性が残っているため、試す価値が十分にあります。希に3ヶ月を越えても回復する例がありますので、一律に期限を決めることはできません。
突発性難聴においてお灸治療はツボの作用を利用することで、耳の奧を含む周辺の血流を集中的に改善させていきます。